PS4版でプレイ/Ver1.00~1.03時プレイ/トロフィーコンプリート済み
紛らわしいキャッチコピーの最新作
アトリエシリーズは、ザールブルグ、アーランドや黄昏などのように基本的に数作品ごとにシリーズの区切りが付けられています。「ばいばいアトリエ。この冒険をずっと忘れない」と最終作のようなキャッチコピーになっていますが、今作ライザのアトリエは新シリーズ1作目になっています。
今回もここ最近のアトリエシリーズ同様に、期限はありません。
今作ライザのアトリエは、映画の「スタンド・バイ・ミー」や、ゲームの「ぼくのなつやすみ」のように、ひと夏の冒険を通しての少年少女たちの友情を描いています。
なんてことのない退屈な毎日を送りながら実家(農家)の手伝いが嫌でさぼるライザ、親からの暴力にその親の評判で周囲からの冷遇を受けているため見返したいレント、祖先の残した本を解読したい小心者のタオと、それぞれに問題を抱え村から逃げ出したい主人公一行がよそから来た商家の娘クラウディアや錬金術士アンペルと女戦士リラに出会い、村の危機を救うために冒険し成長していく物語になっている。
ストーリーネタバレ:ばいばいアトリエ?
少年少女の成長物語というとこれまでのアトリエシリーズと似たような印象だが、今作は少々毛色が違ったものに。冒険を通じて、かつて滅んだ錬金術で栄えた王国やライザたちの故郷であるクーケン島の成り立ち、そして王国を滅ぼしたフィルフサという生物の群れが再度迫りくることを知った主人公一行は、これまで退屈に感じていた「なんてことない」日常を守るために、フィルフサの女王を倒すといったストーリーになっています。
フィルフサを倒した後、ライザは「なんてことない」日常の大切さを知り、故郷で錬金術士として生活していくことを選択します。
ライザ以外の仲間たちはそれぞれの目標を持ち、クーケン島から旅立つことを決めることになります。
つまり、ライザ以外の仲間たちが「ばいばいアトリエ」するわけです。
紛らわしい…!!
今作は、ストーリーだけでなく、人間関係周りでも毛色が違うように感じました。
特に、いじめっ子の幼馴染やクレイマーの漁師にDVをする親などが登場するのは珍しく、人間関係模様が比較的厳しめに描かれているように感じました。
主人公たちの言動や主張が妙に子供っぽい時があったり、大人の主張のほうが一理ある状況もあったりする点も珍しいかも。
近年のアトリエシリーズの雰囲気に慣れてる人は少々面喰らうかも…。
さらに今作はマルチエンドではなく、エンディング1種類のみという点でも近年アトリエシリーズでは珍しい作品になっています。
各キャラクターのイベントはあるものの、エンディングがないこともあってか、これまでよりも描写不足なのは否めません。
また、従来の酒場でのクエストがなくなり、街にいるNPCと会話することで村人からの依頼が発生するように。
マップから依頼が発生する場所が分かるようになっていたのは○
村人からの依頼を進めることで、村人のエピソードが進むので、こちらのほうが掘り下げられているかも…。
生まれ変わったスピーディな戦闘
今作でもWT制なのは変わらないものの、コマンド入力時や通常攻撃/スキル/アイテム発動時にも時間が止まらなくなり、スピーディな戦闘に。必殺技(フェイタルドライブ)の演出中など一部の行動時のみ時間が止まる。
また、OPTIONSボタンで任意にポーズすることもできる。
通常攻撃を当てたりアイテムを使いAPを溜め、APを消費してキャラクターごとに違った「スキル使用」、WTに関係なくアイテムやスキルを発動できる「クイックアクション使用」、戦闘が有利になる「タクティクスレベル上昇」などを行っていく。
操作キャラクター以外の仲間キャラは、基本的にネガティブモード時は通常攻撃、アグレッシブモード時は攻撃スキルを自動的に行う。
また、仲間キャラが出すオーダーと呼ばれる指示の条件を満たすことで、オーダースキルと呼ばれる攻撃スキルが発動するといった要素もある。
今作のアイテムは、CCと呼ばれるコスト制になり、アイテムを消費せずにCCを消費してアイテムを使うことができるようになる。
CCはアトリエに戻ったり、アイテムを一時的に使用不可にするコンバートをすることで回復することができる。
コンバートしたアイテムもアトリエに戻れば復活するため、こまめにアトリエに変えれば実質使い放題。
今作は、期限もなく、ファストトラベルで移動が便利になっているため、ストレスなくアイテムを使うことができます。
スピーディな戦闘で、臨機応変さが求められる部分もあり、アイテムや装備が充実してくるとできることも増えて面白くなる。
ただ、タクティクスレベルで通常攻撃の連撃回数やAPの最大値が変わるため、戦闘の初めにタクティクスレベルを上げるところから始める必要があり、アイテムや装備がある程度充実するまではできることも少ないのもあってイマイチな印象を受けると思う。
また、スピーディな戦闘なため、ダメージ表示などが少々見づらいのが難点。
せめてログがあれば…。
調合は初心者に優しい?
今作の調合は、どのアイテムを投入すると何が発現するのかスキルツリーのようなマスで表示され、見た目で分かりやすいように。また、アイテムリビルドが追加され、一度調合したアイテムに再度アイテムを投入し直すことができるようになり、後から効果を埋めたり特性を変更できるように。
さらに、複製釜が追加されると、調合したアイテムを複製できるようになるので非常に便利。
ほぼクリア後になるものの、複製釜に必要なジェムを稼ぎまくれるようになり、一気に調合の効率がよくなる。
上記を考えると非常に初心者に優しい作りになっていると思います。
その他に、今作では参考書で調合できるアイテムが増える他に、特定のアイテム調合から別のアイテムを調合するレシピ変化と呼ばれる要素も。
また、このレシピ変化は新しいアイテムを作れるようになるだけでなく、アイテムレベルの引き継ぎやアイテム投入回数の増加などといったメリットがあるため、うまく扱うことで非常に強力なアイテムを作ることができる。
ルルアにもあった装備作成時にステータス+の効果を持った材料をいかに投入しまくるか…という要素が今作でも健在で、レシピ変化のアイテム投入回数増加と併せて今回は装備品のステータスを凄い盛ることができる。
武器強化で武器にのみ後から付与効果を付けることができるといった新要素も。
Ver1.02のアップデートで武器錬成が追加され、武器のみステータスを999まで後から上げられるように。
今作の調合は、色々とステータスを盛れる要素はあるのだが、特性もステータスを盛る要素が強く、できることが少ない感じがしなくもない。
少々面倒な採取要素
上にも書いたとおり、今作ではファストトラベルが便利になり、風の靴など移動速度が上昇するアイテムの他にシステムでダッシュが追加されているため、移動自体は非常に便利になりました。しかし、今作ではマップが広くなり、同じ採集ポイントでも使う採集道具によって入手できる素材アイテムが変わるようになったため、採取自体のストレスはかなり大きくなったように思います。
また、終盤解禁される採集道具がないと行けない/採取できないといった状況もストレス溜まる。
他のプレイヤーとパスワードで共有できる採取地調合という要素があるものの、高品質なものが採れなかったり、正直あまり使い勝手のいいものではない。
最終的には、畑で高品質で優秀な素材アイテムが入手でき、さらにVer1.01で追加された「ぷにといっしょ」では畑で採れない高品質な素材アイテムを入手できるようになったため、「採取する必要なくない…?」という状況になるのは疑問に感じなくもないが、非常に便利!!
気になった点
・ボリューム不足1作目ということもあってか、全体的にやれることが少ない。
メインストーリーはまとまったストーリーになっているものの短め。
サブ部分では、DVしていたレントの親父関係がこれで終わり?となんだかもやもやしてしまったため、消化不良に感じてしまった…。
また、やりこみ面で見てもやれることが少ない。
ラムローストくん2号が追加されてダメージ追求しやすくなったものの、ボスが少なく、調合や特性はステータスを盛るものが多く、これまでよりも幅が少ないように感じた。
・バフデ・バフの効果時間/揺れ幅
今回の戦闘はリアルタイム進行になったせいか、バフ・デバフはターン数ではなく効果時間に変更された。
30秒と短いため、複数のバフ・デバフを掛けての行動がより難しくなった。
また、バフ・デバフにも揺れ幅がでるようになったため、ただでさえ大きなダメージの揺れ幅がさらに不安定になり、各検証がしづらくなった。
・説明不足
各種解禁時に見られるチュートリアルと、ヘルプでの説明があるものの、それでも少々説明不足に感じるところがなくもない。
また、○ボタン長押ししながら左右での複数選択などシリーズでおなじみの操作の説明が今回ないため、初心者には複数選択しづらい印象になってしまう。
・色々と解禁が遅い
今回の仲間は6人と少ないが、初期メンバーの3人以外が仲間になるのが遅め。
また、ファストトラベルや複製釜など便利な機能も少し遅め。
・育成関連
今作ではPTに参加していないキャラクターもレベルが上がるようになった。
しかし、レベル以外に、パーティクエストを達成することでスキルを習得するといった要素がある。
パーティクエストは戦闘や調合、採取など様々な条件を満たすことで達成される。
シャリーのアトリエのライフタスクを育成要素にした感じで、キャラ育成に無駄な一手間が必要になった感がある。
初期メンバー以外の仲間になるタイミングが遅いため、パーティクエストの進行状況を考えると変えづらいといった形になってしまう。
・図鑑関連
今作は作成したアイテムの効果が全て図鑑に登録されるようになったのは非常にありがたい。
…のだが、武器強化で付けられる付与効果はこれまで通り発現させないと登録されない…。
また、図鑑で検索はできるが絞り込みができないなど不便なところも。
・BGM
個人的な好みだが、なんとなく今回は印象に残る曲が少なかった。
「啓蟄、嬰の足」「穀雨、麦の風」「白南風」などおそらく久々に浅野隼人氏が担当しているBGMがあったのは嬉しかったのだが、今回はその代わりどうも阿知波さんの曲がないっぽいのが残念。
今回はどうも普段無双シリーズで活躍されているコーエーテクモの作曲者の方が参加しているっぽい。
クリア後に解禁されるエクストラの音楽堂に作曲者によるコメントも今回はないのも残念。
・メモリーマップのトレジャー/ランドマーク
特定の場所を見つけるランドマークや、村人とのクエストを進めることで入手できるアイテム入手後特定の場所で宝箱を見つけるトレジャーという要素がある。
探索要素が好きな人にはプラス要素だが、個人的にこういう要素が苦手なのでちょっとつらかった。
・アップデート
Lv50制限からLv99に解禁や、畑で採れない特定の高品質素材アイテムが採れるぷにといっしょ、難易度LEGENDの解禁など、アップデートのために制限されているような箇所が見られる。
ボリューム不足な上にこういった制限があるのは残念。
・キャラクター関係
PTキャラは6人と少なめで、サブキャラクターも妙に少ないように感じる。
ライザのお父さんがアーシャのアーニーさん、道具屋の人がエスロジのソールさんに妙に似てる気がする…。
・グラフィックとモーション
今作はグラフィックが良くなった反面、モーションがいつもどおりなせいで余計に浮いてしまっている感がある。
あと村にいるモブのおじさんが斜めに立ってて倒れそうだったのが印象に残っている…。
・バグは少なめ?
今回はエラー落ちするバグは少ないようで、エラー落ちやフリーズはVer1.00時に1回だけしか発生しなかった。
ただし、エラー落ち/フリーズ以外に数は少ないがバグがあり、一部アクセサリーの効果が発揮されていないバグやスキルの説明文の記載ミスといった些細なバグや、調合で無限投入バグというバランス崩壊するようなバグが確認されている。
総評:入門によさげ
新シリーズ1作目なので世界観が一新され、ゲームシステムも大幅に変わったので、シリーズをプレイした人が戸惑うことも多いかも。ただその分、新鮮で楽しめる部分も多い。
少々説明不足な部分はあるものの、全体的に難易度は低く、遊びやすくなった部分も多いため、アトリエ入門によろしいかと思います。
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